任意整理をするために必要な条件とは。手続きをスムーズに進めるためにできること。
「任意整理をしたいのですが、自分が対象者かわかりません」
「任意整理をするための条件ってあるの?」
このような疑問を持っている方もたくさんいるのではないでしょうか。
この記事では、任意整理を利用する条件についてわかりやすくまとめています。
あなたが任意整理を検討する際の判断材料にしてください。
任意整理とは
任意整理とは、借金の利息をカットして元本のみの返済にする手続きです。
借金返済では、利息によって返済期間が伸びてしまったり、返済できなくなってしまうことが多いため、利息をカットするだけでもかなり返済負担は軽くなります。
また、過払金が発生していれば利息だけでなく、元本も減額できる可能性もあります。
基本的には弁護士などの法律の専門家に依頼して手続きを進めるため、手間が少なく、債務整理をした人の約85%の方が任意整理を選んでいます。
詳しくはこちらをご覧ください。
任意整理を利用する条件
任意整理をするための条件は以下の4つです。
- 安定した収入があること
- 返済をする意思があること
- 3〜5年で返済できる見込みがある
- 借入先が交渉に応じてくれる
任意整理は、弁護士や司法書士などの依頼した法律の専門家と借入先が交渉して将来利息を含めた利息をカットして、元本のみの返済にする手続きです。
そのため、返済する意思や今まで返済してきた実績がある方が、借入先の金融機関に納得してもらいやすくなります。
任意整理ができるケースとできないケース
ここまでで、任意整理をする際の条件についてはわかっていただけたかと思います。
それではここからは、具体的な例を参考に、任意整理が利用できるケースなのか、できないケースなのかご紹介していきます。
借入期間が短い場合でも任意整理できる?
最近、金融機関からお金を借りました。
でも、給料だけでは返済していくのが難しくて任意整理しようと思っています。
借入期間が短くても任意整理はできますか?
数回しか返済していなくても任意整理できる可能性は十分あります。
しかし、以下の場合には借入先が任意整理に応じてくれない場合もあります。
- お金を借りてから、一度も返済していない
- 数回しか返済したことがない
止むを得ない場合がある時は、依頼する弁護士や司法書士の方に正直に相談しましょう。
パートやアルバイトでも任意整理できる?
クレジットカードのリボ払いを使いすぎてしまいました。
今は、アルバイトで収入が安定していないのですが、任意整理できますか?
パートやアルバイトでも任意整理はできます。
しかし、シフトによって月の収入が増えても減っても毎月同じ金額を返済し続けなければなりません。
任意整理では、2回以上返済が遅れると、返済残高を全額一括返済しなければなりません。
毎月の収入が安定しない場合はあらかじめ貯金をしたり、対策をすることで2回以上の返済遅れが無いようにしましょう。
年金をもらっていても任意整理できる?
今はもう定年して年金をもらっている母がいます。
現役時代の借金を年金で返済していて、生活費を確保するのがやっとなので任意整理をしたいです。
年金をもらっていても、任意整理はできますか?
年金受給者でも任意整理は可能です。
ただし、受け取っている年金の中から生活費と返済金を用意しなければなりません。
また、年金をもらっている場合、年齢が高いことを理由に返済期間を短く設定する金融機関も多いです。
返済期間が短いということは、月の返済負担が大きくなるということです。
そのため、場合によっては任意整理以外の解決方法を考える必要があります。
任意整理の条件を満たさない場合とその対策
ここまで、任意整理ができるケースとできないケースをみていただきました。
ここからは、任意整理の条件に当てはまらない場合とその対策方法についてご紹介していきます。
- 一度も借金を返済していない
- 借金額が年収の2倍を超えている場合
- スマホや車などを割賦で購入している場合
- 生活保護を受けている場合
- 借入先の方針で任意整理には応じていない
ここからは、任意整理の条件を満たさない場合の対処法についてご紹介していきます。
一度も借金を返済していない
一度も借金を返済していない場合、借入先の金融機関が任意整理に納得してくれない可能性があります。
なぜなら、借金を返済できないとわかっているのにも関わらず、借金したと思われるからです。
任意整理は借金をした人に、返済する意思があるかどうかを重視した手続きです。
一度も返済していない借金を任意整理する場合、返済の実績を作ることも検討しましょう。
また、借入をした時は、借金を完済する意思があったにも関わらず、病気などで返済が難しくなった等、やむを得ない事情で返済ができない場合もあるかと思います。
そういった場合は、一度しか借金を返済していない場合でも、借入先の金融機関に任意整理を受け入れてもらえる可能性があります。
借金額が年収の2倍を超えている場合
借入した借金が年収の2〜3倍を超えている場合は、任意整理では対応できない可能性が高いです。
なぜなら、任意整理の減額幅だけでは借金の解決ができないからです。
任意整理は将来利息を含めた利息をカットする手続きです。
借金が年収の2〜3倍を超える場合は別の債務整理を検討しましょう。
スマホや車などを割賦で購入している場合
割賦払いというと聞きなれない方もいると思いますが、いわゆるローンのことです。
割賦払いでスマホや車を購入した場合でも任意整理を行うことは可能です。
しかし、割賦払いで購入したスマホや車をローン会社やカード会社に返さなければならない可能性があります。
なぜなら、ローンで購入したものは「支払いが終わるまではローン会社のもの」という約束があるからです。
ローン契約をした借金を任意整理した場合、借入先から購入したものを返すよう求められます。
車やパソコン、ブランド品等の高額な商品は、返却を求められる可能性が高いです。
時間が経つと価値が下がるものなどは返さなくていい可能性もあります。
ローンを組んで購入した車やパソコンが必要で、任意整理をしたい場合は任意整理の対象からローンを外すことをおすすめします。
また、車などのローンが高額で任意整理の対象にしたい場合は、返すことができない事情を説明し、借入先に納得してもらう必要があります。
生活保護を受けている場合
生活保護を受給している場合は、受給したお金を返済に回せないので、自己破産をするのが一般的です。
自己破産であれば、借金の返済義務が全て免除されるからです。
もし、現在生活保護を受けていて、借金の返済をしている場合、最悪、受給停止になってしまうこともあり得ますので、すぐに専門家に相談してください。
借入先の方針で任意整理に応じていない
借入先によっては、任意整理に応じていない場合があります。
かなり珍しくはありますが、過去に貸付業をしていて倒産、現在は債権回収しか行っていない、というような会社は任意整理に応じていない傾向があります。
その場合は任意整理ではなく、個人再生や自己破産など他の債務整理方法を考えましょう。
任意整理の条件を満たさない場合の解決策
任意整理の条件を満たさない場合でも、借金を解決できないというわけではありません。
任意整理の条件を満たさない場合の借金解決方法についてご紹介していきます。
- 自分で借入先と直接交渉する
自分で借入先と直接交渉する
任意整理は、借入先と交渉して進める手続きのため、弁護士や司法書士などの専門家に依頼せず、自分で行うことも可能です。
しかし、交渉するには法律的な専門知識が必要なため、結果的に自分でやるよりも専門家に依頼したほうが得する場合が多いです。
個人再生を検討する
個人再生は、借金額によって1/5~最大1/10まで返済総額を削減できる債務整理手続きです。
減額幅が大きいというメリットはありますが、法律の専門家の他に裁判所等も利用して手続きする必要があるので、複雑な手続きになります。
そのため、特別なケースを除いて利用者はあまりいません。主に、任意整理では対応できない人が個人再生で対応するケースがほとんどです。
詳しくは以下をご覧ください。
自己破産を検討する
自己破産とは、今ある借金の返済義務を免除してもらう手続きです。
手続き後は借金がゼロになるので、確実に生活の再建を図ることができます。
かなり強力な手続きですが、デメリットも大きく、借金解決方法の中では最終手段と言えるでしょう。
詳しくは以下をご覧ください。
任意整理のよくあるQ&A
- Q:相続した借金も任意整理できる?
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亡くなった家族の財産を、相続して借金が発覚した場合にも、任意整理できます。
しかし、借金以外にプラスの財産がない場合や、既に裁判や差し押さえを受けている場合には、他の解決方法を選択した方が良いケースもあります。
相続で発覚した借金についての解決法は複雑ですので、まずは専門家に相談しましょう。
- Q:保証人がいる場合も任意整理できる?
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保証人がいても任意整理はできます。
しかし、保証人がいる借金を任意整理すると、保証人に返済の請求がいきます。
保証人に迷惑をかけたくないという場合は、保証人がついている借金を任意整理の対象から外しましょう。
やむを得ず保証人がついている借金を任意整理する場合は、事前に保証人に事情を説明して同意を得てから手続きに移ることが大切です。
- Q:任意整理はなんかでもできる?
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借入先に同意してもらえるのであれば、何回でも任意整理をすることは可能です。
しかし、2度目の任意整理は交渉が決裂する可能性が高いです。1度目の約束を守れなかったことで、借入先からの信用を失ってしまうからです。
また、2度目の任意整理がうまくいった場合も、追加での借金減額は認められず、返済期間の延長もしくは、月々の返済額を小さくしてもらうことしかできません。
まとめ
この記事では、任意整理の任意整理をするために必要な条件と、手続きをスムーズに進めるためにできることについてご紹介してきました。
任意整理で借金の解決ができない場合でも、他の手続きをとることで借金の解決を望める場合もあります。
まずは借金減額シミュレーターを利用して、あなたの借金がどれくらい減額できるのか確かめてみてください。