特定調停ってどんな手続き?任意整理との違いとデメリット
「任意整理や個人再生はハードルが高くてできない」
「法律の専門家に依頼しない借金解決方法はないの?」
借金の解決と聞くと、自己破産が思い浮かぶ方が多いと思います。
しかし、実は自己破産で借金を解決する人はほとんどおらず、自己破産以外で借金を解決している人がほとんどです。
今回は、自己破産以外の債務整理方法の一つである「特定調停」について
- 特定調停のメリット・デメリット
- 任意整理や他の借金解決方法との違い
以上の2点について、わかりやすく紹介していきます。
特定調停とは?どんな目的で選ばれる?
特定調停とは、任意整理や個人再生といった他の借金解決方法のように法律の専門家に依頼せずに、全ての手続きを自分で行う債務整理手続きです。
簡易裁判所に申し立てを行なって、仲介してもらいながら進めていきます。
自分で行う任意整理とも呼ばれていて、手続きの流れは任意整理と変わりません。
自分のペースで手続きを行うことができる反面、書類等も全て自分で集めなければならないため、手間もかかり、時間に余裕がある方でないと難しいでしょう。
特定調停のメリット・デメリット
メリット
特定調停のメリットは
以上の3つです。
特定調停は、自分で行う任意整理とも呼ばれているため、手続き自体は任意整理と変わりません。
ただ、手続きに関する書類集め等も自分で行うため、自分のペースで手続きを進めることができます。
また、法律の専門家に来せずに進めるため費用も借入先1社あたり500円〜と他の手続きと比べても最低限で手続きを行うことができます。
デメリット
特定調停のデメリットは
以上の5点です。
法律の専門家に依頼する場合は、受任通知が発行されるのですぐに取り立てや督促が止みますが、特定調停の場合は受任通知が発行できません。
そのため、法律の専門家に依頼した場合と比べて、取り立てや督促が止まるタイミングがかなり遅くなります。
また、過払金の請求手続きを同時に行うことができないため、特定調停が終わってから別で行う必要があり、手間がかかります。
基本的に、法律の専門家が介入しない場合は借入先から足元を見られることがほとんどです。
手続きを行なっても、減額幅が小さかったり、手続きが成立しなかったりということが起こりやすいです。
費用は高くても、全体的な減額幅を見ると任意整理をした方が得することがほとんどです。
特定調停をする条件
特定調停は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼せずに、全て自分で行う債務整理手続きの方法です。ここからは、特定調停を行う際の条件について詳しくご紹介していきます。
債務整理を行う条件
特定調停を行う際には、まず、債務整理を行う条件を満たす必要があります。具体的には以下のような条件です。
- 借金を支払うことができない(返済能力がない)可能性がある状態
- 消費者金融やクレジットカード会社から督促の手紙や電話が来ている
特定調停で対応できる借金と対応できない借金
特定調停で取り扱うことができる借金には以下のようなものがあります。
- 消費者金融等からの借金
- クレジットカードの支払い
- 家賃、光熱費の滞納 等
また、特定調停で取り扱うことができない借金もあり、具体的には以下のようなものがあります。
- 住民税や公共料金の滞納
- 事故や違法行為での損害賠償金
以上が特定調停を利用する際の条件です。
特定調停の流れ
次に、特定調停の手続きをする際の流れをご紹介していきます。
特定調停の流れは大きく分けると4つあり、以下の流れで進んでいきます。
- 必要書類の作成・裁判所に申し立て
- 申し立て受理後・1度目の調停期日に出廷
- 2回目の調停期日に出廷・借入先との交渉
- 特定調停成立または、17条決定・調停調書作成
順番に詳しくご紹介していきます。
まずは、特定調停に必要な書類を作成する必要があります。これには、特定調停申立書、財産目録、収支計算書などが含まれます。
特定調停申立書は、簡易裁判所に提出するもので、お金を借りた人や借入先の会社が作成することができます。
申立書には、支払い不能状態にあること、債務整理を行うことを希望していること、借入先との交渉に失敗したことなどが記載されます。
申立書に必要な書類は、簡易裁判所のホームページからダウンロードすることができます。
簡易裁判所に申し立てが受理されると、1回目の調停期日が指定されます。
調停期日は、申立書の提出から約1か月後に設定されます。
調停期日には、お金を借りた人(債務者)、借入先(債権者)、調停委員が出席します。調停委員は、簡易裁判所が任命した弁護士や司法書士です。
調停委員は、債務者や債権者の話を聞き、債務整理のための最適な方法を提案します。
1回目の調停期日で合意が成立しなかった場合、2回目の調停期日が設定されます。2回目の調停期日では、債務者と債権者が交渉を行い、最終的な合意がなされます。
調停委員がお金を借りた人(債務者)と借入先(債権者)の話し合いの仲介をします。債権者との交渉で合意が成立すれば、特定調停が成立します。
合意が成立しなかった場合は、調停に代わる決定が出されます。
お金を借りた側(債務者)と借入先(債権者)が合意した場合は、特定調停が成立します。
調停委員が、債務者と債権者の合意内容をまとめた「調停調書」を作成します。
調停調書には、債務者の債務整理方法、債務者が支払う金額や期間などが記載されます。調停調書は、簡易裁判所に提出され、債務整理手続きが終了します。
もし債権者との交渉で合意が成立しなかった場合、調停に代わる17条決定というものが出されます。17条決定とは、簡易裁判所が債務者の債務整理方法を決定するものです。
17条決定が出された場合は、債務者はその決定に従う必要があります。
以上が、特定調停の流れになります。裁判所によって流れの内容は変わりますが、大枠は変わりません。特定調停を考えている場合には、参考にしてください。
特定調停と任意整理の違い
特定調停は自分で行う任意整理と呼ばれるほど、任意整理と手続きが似ています。
では、特定調停と任意整理の違いはどのようなところなのでしょうか。詳しくご紹介していきます。
手続きをする際の費用の違い
債務整理の手続きをする際には費用面も気になるでしょう。
任意整理は弁護士や司法書士などの法律の専門家に依頼するため、弁護士費用や司法書士費用がかかってしまいます。
しかし、特定調停で手続きをする場合、必要書類の作成を含めたすべての手続きを自分で行うことになるので、専門家費用がかからず、安く手続きを進めることができます。
整理対象とする借入先(債権者)1社あたり500円ほど、郵便切手代を含めても2,000円程度で手続きを済ませることができます。
一方、任意整理を弁護士などの専門家に依頼すると、着手金だけでも借入先(債権者)1社あたり2万円程度かかることが多いです。
過払い金請求ができるのは任意整理のみ
特定調停も任意整理も手続きとしては同じです。しかし、手続きの結果、過払い金があった場合に過払い金請求まで同時に行えるのは任意整理だけです。
過払い金があって特定調停をする場合には、特定調停の手続きが終わってから過払い金請求の手続きを別で行わなければなりません。
多額の過払い金がある場合には、弁護士や司法書士に依頼して任意整理を行う方が成功率は高く、過払い金の返還額も大きいです。
督促の電話や手紙が止まる時期
特定調停も任意整理も手続きを行なった際に督促の電話や手紙が止まるのは一緒です。しかし、督促の電話や手紙が止まる時期に差があります。
任意整理の場合は、手続きを始めた際に弁護士や司法書士が借入先に受任通知を送ることですぐに督促が止まります。
特定調停の場合は、裁判所に特定調停の申し立てをおこなってから督促が止まるまで数日かかります。取り立てが止まるまでは、遅延損害金が発生する場合もあります。
また、特定調停は申立書を自分で作成しなければならず、作成に時間がかかる場合もあるため、督促をすぐ止めたい場合には弁護士や司法書士に依頼して任意整理手続きを行いましょう。
まとめ
特定調停は、法律の専門家に依頼せずに自分で行う債務整理手続きです。
費用は安く済みますが、借金の減額幅が小さかったり調停が不成立になったりすることが多く、成功率がかなり低い手続きです。
そのため、ある程度費用はかかったとしても任意整理を選ぶことをお勧めします。
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