債務整理って何?手続きごとの特徴と、メリット・デメリットを徹底解説
債務整理とは
債務整理とは、借金を減らしたり返済期間を延ばしたりすることによって、返済負担を軽くする手続きです。
債務整理の対象になる借金は、クレジットカードや消費者金融など一般的な借金の他に、住宅ローンやカーローンなど、借金全般が対象になります。
債務整理は、多額の借金から解放されるメリットがある反面、デメリットも存在しています。
ここでは、債務整理についてメリットだけでなく、デメリットも紹介しているのであなたの納得のいく借金解決方法を見つけましょう。
債務整理のメリット
債務整理の主なメリットは以下の二つです。
- 借金の減額や免除を望める
- 督促や取り立てをストップできる
次にそれぞれのメリットについて、細かくご紹介します。
借金の減額や免除を望める
債務整理をすることで、借金を減額したり借金の支払いを免除したりすることができます。
また、借金が減額、免除されることで、借金があったときよりも余裕のある暮らしを送ることができ、気持ち的にも余裕ができるというメリットもあるでしょう。
督促や取り立てをストップできる
債務整理を法律の専門家に依頼すると、受任通知というものが発行されます。
こちらが発行されることで、借金に関する全てのやり取りを、法律の専門家を通して行わなければならなくなります。
そのため、督促や取り立てを止めることができます。
督促や取り立てが止まれば、郵便に怯える必要も電話に怯える必要もなくなり、心の安定も取り戻すことができます。
債務整理のデメリット
債務整理を行うデメリットは、信用情報機関に金融事故情報が登録されてしまうことです。
一般的には、ブラックリストと呼ばれています。
債務整理の種類によっても事故情報の登録期間は異なり、任意整理であれば完済から約5年間登録されます。
ブラックリストの間は、新しくクレジットカードを作ったり、住宅ローンや車のカーローンを組んだりすることが難しくなります。
しかし、債務整理をしなかったとしても借金を滞納するとブラックリストに載ってしまう可能性もあります。
また、ブラックリストは永遠ではなく、登録期間が過ぎることでまたクレジットカードやローンなどを利用することができます。
債務整理にはどんな種類がある?4つの手続きと特徴
債務整理には、大きく分けると
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
- 特定調停
以上の4つに分けることができます。
任意整理から順番にご紹介していきます。
任意整理
任意整理とは、毎月の返済金額を減額するために、借金の減額や金利の引き直しなどの交渉を行い、生活に支障のない範囲で返済を行えるようにする手続きです。
- 任意整理の対象にする借金を選ぶことができる
- 裁判所を通すことなく借入先と支払いの交渉ができる
- 借入先との交渉を法律の専門家に任せることができる
- 将来利息(これからかかる利息)をカットして元本のみの返済にできる
- 法律の専門家に無理のない返済プランを組んでもらうことができる
個人再生
個人再生とは、現在の借金が返済困難であることを裁判所に認めてもらい、減額された借金を3年~5年かけて分割で返済していく手続きです。
借金の額が5,000万円以下の方が個人再生の対象で、最低返済額が最大10分の1まで減額される可能性があります。
- 裁判所を通して返済金の減額・期間を延ばしてもらう
- 減額後3年間での完済を目指す
- 返済総額が1/5~1/10に減額される
- 住宅ローンを残すことができる
自己破産
自己破産とは、財産がなく借金の支払いができないことを裁判所に認めてもらうことによって、借金の支払義務を免除してもらう手続きです。
住宅や車など、高価な財産は手放す必要がありますが、今後の収入を全て生活費に充てられるようになります。
- 裁判所で借金を免除してもらう
- 免責が認められると借金の支払いが免除される
- 20万円以上の財産と99万円以上の現金は没収され返済に回される
特定調停
特定調停とは、法律の専門家の力を頼ることなく自分のみで行う任意整理です。
簡易裁判所で、借入先の金融業者と直接減額交渉を行います。
- 簡易裁判所の仲介で借入先と交渉できる
- 借金をしている本人が書類準備など全ての手続きを行う
以上が4つの債務整理の特徴です。いかがだったでしょうか?債務整理と一括りに言っても、手続きによって違いがあることがわかります。
では、それぞれどのようなメリットデメリットがあるのでしょうか?
種類別、債務整理のメリット・デメリット
次に、任意整理、個人再生、自己破産、特定調停それぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。
それぞれのメリット・デメリットを確認して、自分に合う債務整理手続きを見つけましょう。
任意整理のメリット・デメリット
まずは、任意整理のメリット・デメリットを紹介します。
任意整理は裁判所を通すことなく、法律の専門家と貸金業者が直接交渉を行います。そのため、比較的柔軟な対応を望めます。
個人再生や自己破産など他の債務整理のように財産を手放したり、資格制限を受けたりすることもありません。
また、任意整理の対象となる借入先を選ぶことができるので、車を残したい場合はカーローンを対象から外すことなども可能です。
保証人に迷惑をかけたくないときや、家を残したいという場合にも選択肢になります。
任意整理の一番大きなデメリットは、ブラックリストになってしまうことです。
任意整理での残債完済後、約5年は新しいクレジットカードやローンの契約ができなくなります。
しかし、他の債務整理の場合は完済後約10年と、任意整理の倍の期間がかかります。
そのため、デメリットとは言えど、比較的軽いデメリットであると言えます。
個人再生のメリット・デメリット
次に個人再生のメリット・デメリットをご紹介します。
個人再生は、借金総額を大幅にカットできるので、返済負担がかなり軽くなるのがメリットです。
裁判所を通す手続きのため、借入先に対して取り決めの強制力もあります。
財産の処分の必要がなく、住宅ローンの残っている自宅も手放さずに住み続けることができます。
また、資格制限もないので今の仕事を続けることができます。
個人再生は債務整理の中で、最も複雑で規定が多く、難しい手続きです。
手続き後に借入残高が残るため、継続した収入がある人のみ手続きができます。
また、手続きをする上での上限金額が定められていて、5,000万円以下の借入金額でなければ手続きできません。
個人再生をすると、10年間と任意整理よりも長い期間事故情報として登録されます。その期間は、ローンを組んだり借入したりができなくなります。
用意しなければならない書類も大量にあるため、手間がかかるのもデメリットの1つです。
自己破産のメリット・デメリット
自己破産をすると全ての財産を没収されてしまい手元に何も残らなかったり、手続き後も貧しい生活が続いたりすると誤解している人が多いです。
しかし実際は、借金の免責の許可決定が確定すれば借金が帳消しになります。
その上、20万円以下の財産と99万円以下の現金は残るので生活の立直しが可能といえます。
自己破産後は借入残高の支払いもなく、得た収入を自由に使えるので、以前より裕福な生活を送っている方もいます。
自己破産する大きなデメリットは自己破産した後、支払い義務が保証人や連帯保証人に移ってしまうことです。
そのため自己破産をする時は、保証人や連帯保証人となってくれている友人や家族がいる場合、事前に話しておくことが必須です。
家や土地などの価値のある財産は、通常処分を免れません。車に関しては年式と価格を考慮して決められます。
特定調停のメリット・デメリット
特定調停は自分で手続きをする代わりに、費用がほかの債務整理よりも安くなっています。
財産などを没収されることもなく、自分で進めれば弁護士への支払もないので他の債務整理手続きより費用が安く済みます。
本人主体で進められる分、面倒な書類作成や手続きも自分でする必要があります。
結果も全部が希望どおりにいくとは限りません。
調停が成立しなかった場合には、自己破産などの別の債務整理の手続に移行しなければならなくなることもあるので要注意です。
債務整理別、手続きができる人の条件
債務整理には、大きく4つの手続きがあること、それぞれどのような特徴があるのかわかっていただけたでしょうか。
『じゃあ、私はどの手続きを選んだらいいんだろう』
そう思っている方も少なくないと思います。
ここからは、債務整理手続きができる条件をご紹介します。
- 手続き後3年〜5年で完済できる
→長くても5年以内に返済しなければなりません。そのため、完済までの期間が5年よりも長い場合は和解が成立しないこともあります。 - これまで1度も返済していない
→そもそも返済意思がないと判断されてしまうと、減額後も支払うつもりがないと考えられ、交渉に応いてもらえない場合があります。
- 手続き後3年〜5年で完済できる
→長くても5年以内に返済しなければなりません。そのため、完済までの期間が5年よりも長い場合は和解が成立しないこともあります - 借金の総額が5,000万円を超えない人
→税金などを除いた借金が5,000万円以上の場合だと個人再生はできません
- 支払不能であることを証明できる
→自分が無理だと思っていても、客観的に見て十分な財産がる場合は自己破産ができないことがあります。 - 非免責債権ではない借金であること
→税金など免責されない借金は自己破産をしても返済義務は消えません。
- 指定された期日に出廷できる人
→債務者本人が裁判所に出廷する必要があります。仕事や予定の都合をつけなくてはなりません。 - 書類等の準備を自己責任でできる人
→特定調停では原則、手続きの準備を自分でする必要があります。弁護士に依頼はできますが、費用がかかります。 - 減額後の借金を返済できる見込みのある人
→特定調停では借金がゼロになることはほぼありません。その後の返済にも注意が必要です。
債務整理をするにはある程度お金が必要になる
債務整理では、全ての手続きで借金をなくせるというわけではありません。
- 自己破産(税金などは支払い義務が残る)
- 任意整理
- 個人再生
- 特定調停
自己破産以外の方法では基本的に減額になるので、手続が終わった後も借金を返済していかなければなりません。
借金後も返済していくことを考えると、収入がないと自己破産以外の債務整理は難しいと考えられます。
どうしても費用が用意できそうにない、という方は法テラスに相談することをお勧めします。
債務整理をすべき人はどんな人?
ここまで読んでいただいた人の中で自分が債務整理をするべきかどうか悩んでいる方も多いかと思います。
ここからは一般的に債務整理をした方がいいと言われる条件を紹介します。
普段の自分にとって債務整理が必要かどうか振り返ってみてください。
- 常にクレジットカード利用限度額に達している
- 返済期間が5年以上の債務がある
- 収入の少なさから借金をしてしまう
- 浪費が激しい
上に挙げた条件はあくまでも目安です。
債務整理にはデメリットもあり、複雑な手続きも多いです。
自分にはどの債務整理をする必要があるのか、慎重に見極めてから弁護士に依頼したり、各機関へ手続を行う必要があります。
債務整理をするなら弁護士への相談がおすすめ
ここまで読んでいただけたらわかる通り、債務整理には書類作成や、裁判所を通しての手続きなど難しいことばかりです。
債務整理の成功確率を最大限に上げるためには、弁護士や司法書士などの法律の専門家に依頼するのが一番です。
しかしながら、弁護士や司法書士に相談するのはハードルが高いという方も多いでしょう。
まずは、借金減額シミュレーターで無料で自分の借金が減らせる可能性があるかどうか知ることで日々の不安を解消することができますよ。