多重債務とは?悪循環に陥ってしまう仕組みと解決策
債務とは、ある特定の行為をしなければならない義務のことです。
例えば、借金は借入先に対して、一定の借金額と利子を期限までに支払わなければなりません。そのため、こうした金銭の返済義務を金銭債務と呼びます。
また多重債務とは、複数の借入先から借金をしている状態です。多重債務に陥るとなかなか状況から抜け出せず、悪循環になりがちです。
この記事では、何故多重債務に陥りやすいのか、また多重債務はどのようにして解決すればいいかについて解説していきます。
何故多重債務になってしまうのか
そもそも、何故多重債務に陥りやすいのでしょうか?
多重債務と聞くと、どうしてもギャンブルだったり無計画な浪費のためと想像しがちです。
ですが、多重債務者が借金をしたきっかけで最も多いのは低収入や収入の減少により生活費や教育費を補うためということが明らかになっています。
そのため、多重債務は一般の人でも陥りやすく、身近に発生してもおかしくない問題であると言えます。
多重債務に陥りやすい悪循環の理由と仕組み
多重債務になりやすい原因として代表的な例は2種類あります。
複数の消費者金融による雪だるま方式
例えば、期限が迫っている借金を返済しようとして手元にお金がない場合、ついつい他の消費者金融からも借金してしまいがちです。
ですが、その新しい借金にも、もちろん返済期限が設けられています。
期限に返済できなければまた新たに借金をしなければならず、そのために別の消費者金融から借金をして利息なども含め雪だるま方式で借金が膨らんでいきます。
その結果、多重債務の状態に陥ってしまいます。また多重多額債務といった言い方もします。
カードローンからの借金
そもそも、消費者金融などに対しては返済能力を超えた貸付ができないように、貸付は原則として年収の3分の1までとされています。
例えば、年収が300万円の方であれば、貸金業者ができる貸付は100万円といったような仕組みです。
これを貸金業法の総量規制と言います。しかし、これはあくまでも貸金業者の貸付を対象とした制度です。
そしてクレジットカードの中で、ショッピングローンは貸金業法の総量規制の対象外に当たります。
そのため、ショッピングローンは複数のカードで分割払いやリボ払いを繰り返すことができ、知らず知らずのうちに多重債務になっているケースも存在してしまうということです。
多重債務問題に陥った人の実際の体験談
今回は実際に債務整理になってしまったAさんにお話を伺うことができました。どうしてAさんはそのような状態に陥ってしまったのでしょうか?
Aさんはなぜ、多重債務になってしまったのですか?
最初は、昔作ってしまったパチンコでの借金の返済が間に合いそうになかったからでした。
普段は、普通の会社員をしていたので一定の収入もあり、借金の返済も計画的にできていたと思います。
また、借金の原因であるパチンコも手を出さないように心がけていました。
ですがそんな時、突然リストラに合ってしまい一定の収入減を失ってしまったんです。
それはお辛かったですね。その後はどうされたんしょうか?
仕事を失ったショックと今まで働いていた時間が余ったせいで、またパチンコに通うようになってしまったんです。
元々返済をしていたので貯金はほとんどなかった事とパチンコでの負け続きが相まって、返済期限までにお金が用意できなくなる状態になるのはそう遠くありませんでした。
そして追い詰められた私は、借金を返すためにまた別の消費者金融からお金を借りてしまったんです。
その時はその場をしのぐことしか考えられず、その後がどうなってしまうかなど考える余裕もありませんでした。
既に借金をしている人が、その債務を返済するために別の消費者金融からお金を借りてしまうのはよくあるケースです。
また、一度借りてしまうとそこからあっという間に3社目、4社目と契約し、気がつけば「多重債務者」となってしまっていたのです。
Aさんのように精神的にも経済的にも追い詰められ「他から借りるしかなかった」と極端に考え、結果多重債務になってしまったようです。
多重債務になると起こるデメリット
借金が膨らむ可能性がある
多重債務の場合、複数の債務を抱えているため、それぞれの債務について金利や遅延損害金が発生する可能性があります。
これらの負担が重なると、元本に上乗せされて返済額が増えることになります。
経済的なストレスや心理的な負担の大きさ
債務によって発生する最大の問題は、返済不能に陥る可能性が高いことです。
複数の借金がある場合、それぞれの債務を返済するための負担が大きくなり、返済期限を過ぎたり、返済を滞納することが増える傾向があります。
また、多重債務による心理的な負担も大きいとされています。
複数の借金を抱えることで、経済的な自立ができなくなったり、自尊心が傷つき自己否定感や抑うつ状態に陥ったりする可能性があるからです。
さらに、多重債務によって引き起こされる経済的なストレスや心理的な負担は、人生の様々な面に影響を及ぼすことがあります。
社会に与える影響や課題
多重債務を抱えている個人や家庭は、経済的な面で職場で問題を抱えることがあります。
借金の返済や家計の収支管理に苦しみ、結果的に精神的な問題を抱えたり、労働能力が低下したりする可能性があります。
その結果、雇用の不安定化や失業のリスクが高まることがあります。
多重債務を放置しておくと
返済期限の長期化
多重債務を放置すると、返済期間が長期化する可能性があります。
それぞれの債務を返済するために、利息分や手数料分がかかるため、借金が増え、結果的に返済期間が延びることがあります。
利息・遅延損害金の増加
借金が複数ある場合、それぞれの債務で利息が発生します。
そのため、借金の返済額が増え、利息が膨らむことになります。
また、多重債務を放置すると、それぞれの借入先から遅延損害金を請求されます。
遅延損害金にも利息がかかるため、通常の返済よりも多くの利息が発生します。
最悪の場合、差し押さえ
多重債務を放置すると、取り立てや差し押さえの可能性があります。
借金の返済が滞ると、借入先から催促の連絡が来たり、強制執行されることがあります。
また、最悪の場合裁判所からの差し押さえ命令が出ることがあります。
返済期間の長期化や利息の膨らみ、クレジットスコアの低下、取り立てや差し押さえの可能性など、深刻なデメリットを生じさせることがあります。
そのため、早期に債務整理などの対策を行うことが重要です。
多重政務から抜け出す解決法
多重債務の状態となってしまうと、悪循環に陥りやすく、自分一人で解決することは非常に難しいといえます。
もしもそのような状態になってしまった場合、まずは冷静になってどのような対処法があるのかを考えることが大切です。具体的には
- 借金の一本化(おまとめローン)をする
- 家族や専門の弁護士、司法書士に相談する
- 債務整理を行う
- 過払い金請求を行う
などがあります。ひとつずつ細かく見ていきましょう
借金の一本化(おまとめローン)をする
おまとめローンは、複数の借入先から借り入れた借入金を、一つの金融機関にまとめて返済するためのローンのことです。
複数の借入元からの借金を一つにまとめることで、金利が下がり、返済期間や返済日の調整がしやすいというメリットがあります。
ただし、おまとめローンには審査があり、基本的には借入金の合計金額が大きいほど厳しい傾向にあります。
また、おまとめローンは長期間にわたる返済を前提としているため、短期間で返済を終えたい場合には適しません。
そのため、おまとめローンを利用する際には、複数の金融機関の商品を比較し、自分に最適な条件で借りることが大切です。
また、おまとめローンを利用する前に、元々の借入元との契約内容や借入金の残高などをしっかり確認することも必要です。
家族や専門の弁護士、司法書士に相談する
多重債務に陥っている場合、他人に借金のことを話すのはかなり勇気がいる事です。
また、自分一人で抱え込んでいると、「どうにかしなければいけない」ということばかり考えしまい、いつの間にか八方塞がりに…なんてこともあります。
まずは、勇気を出して誰かに話してみることで、解決策が見えてくる可能性もあります。
その場合弁護士や司法書士であれば、法律の専門家なので、借金についてあなたに合った的確なアドバイスを受けることができます。
もし、誰も周りに相談できる人がいない、弁護士や司法書士のハードルが高いという場合は、借金減額シミュレーターを使ってみましょう。
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債務整理を行う
債務整理とは、今ある借金を減額したりゼロにすることが出来る法的な手続きの事です。
ただ、債務整理と一括りに言っても自己破産や任意整理など様々な種類があり、手間や負担なども手続きによって様々です。
弁護士や司法書士に依頼して行うものなので、依頼料などはかかりますが、長期的な目で見ると借金完済への近道になる可能性が高いです。
ただ、先ほども述べた通り債務整理には種類があるので、自分が何に当てはまるかシミュレーターを使って調べてみることをおすすめします。
債務整理を検討している方は、こちらの記事に詳しいメリットデメリットや条件など詳しく書いてあるので、是非参考にしてみてください。
過払い金請求をする
過払い金請求とは、貸金業者に支払いすぎた利息を返金してもらう手続きです。
貸金業者が「グレーゾーン金利」と呼ばれる無効な金利を設定している場合、過払い金が発生することがあります。
過払い金請求は、多重債務になってしまっていても手続きが可能です。
ただし、最後に借入または返済をした日から10年が経過すると時効が成立し、過払い金を請求できなくなるので注意が必要です。
過払い金請求が出来た場合、そのお金を返済に回すことができるので、返済の負担も楽になります。
手続きには、弁護士や司法書士に依頼して裁判所を通さずに金融機関に交渉する方法と、裁判所を介して手続きを進める方法があります。
まとめ
この記事では、何故多重債務に陥りやすいのか、また多重債務の解決方法についてご紹介してきました。
今回の記事で紹介した多重債務は、社会問題として深刻化してきています。
要するに決して珍しい事案でもなければ、誰もが陥る可能性があるという事です。
多重債務にならないように、今のライフプランを見直してみることも勿論大切です。
ですがもしも、あなたが多重債務になってしまっている場合は専門の弁護士や司法書士に相談してみることで解決の糸口が見つかるかもしれません。
ひとりで悩んでいるとどうしても視野が狭まってしまい、ますます多重債務の悪循環に陥りやすい状況になりがちです。
まずはご自身の借金の総額を把握し、どの手続きが一番自分に合っているのかを相談無料の弁護士や司法書士に相談することを強くお勧めします。