自己破産の費用はいくら?相場・内訳と払えないときの対処法
「自己破産をしたいのに、手続きをするお金がない」と悩む人は少なくありません。返済が難しいから自己破産を考えているのに、弁護士費用や裁判所費用が必要だと知り、手続きを諦めそうになることもあるでしょう。
自己破産にかかる費用は、大きく分けると「裁判所へ納める費用」と「弁護士・司法書士へ依頼する費用」の2つです。さらに、同時廃止で進むか、破産管財人が選任される管財事件になるかによって、裁判所費用が大きく変わります。
ただし、最初から全額を用意できなくても、専門家費用の分割払い、法テラスの立替制度、申立てまでの積立てを利用できる場合があります。この記事では、2026年8月時点の公的情報をもとに、費用の内訳と払えない場合の対処法を整理します。
自己破産の費用はいくらかかる?
自己破産の総額は、次の計算で考えると分かりやすくなります。
自己破産の総額=裁判所費用+専門家費用+個別に発生する実費
手続き別の大まかな違いは次のとおりです。
| 手続き | 裁判所費用の目安 | 専門家費用 | 費用が変わる主な理由 |
|---|---|---|---|
| 同時廃止 | 2万円前後の裁判所がある | 事務所ごとに異なる | 破産管財人が選任されない |
| 弁護士申立ての管財事件 | 20万円台からとなる裁判所がある | 同時廃止より高くなる場合がある | 破産管財人の費用が必要になる |
| 本人申立ての管財事件 | 弁護士申立てより高額となる運用がある | 本人だけで進めるなら不要。司法書士等へ依頼すれば別途発生 | 裁判所によって高い予納金を求められる場合がある |
私選弁護士の公開料金では、30万円~50万円前後の設定も見られますが、公的な統一相場ではありません。管財事件の追加料金、債権者数、事業の有無、過払い金調査、遠方への出張などによって、50万円を超えることもあります。
たとえば、弁護士費用を35万円と仮定すると、裁判所費用が約2万円の同時廃止では総額約37万円、裁判所費用が約23万円の管財事件では総額約58万円です。これは計算例であり、実際の見積額を保証するものではありません。
また、「同時廃止にしたい」と本人が選べるわけではありません。財産、借金の経緯、事業の有無、過去の財産処分などを確認したうえで、裁判所が手続きの進め方を判断します。
自分の借入状況でどの手続きが候補になるのか整理したい方は、借金減額相談の案内も確認できます。表示される結果は目安であり、自己破産の費用や減額結果を保証するものではありません。
2026年の東京地裁を例に裁判所費用を計算
裁判所費用は全国一律ではありません。申立てをする地方裁判所、債権者数、納付方法、事件の内容によって変わるため、必ず管轄裁判所の最新案内を確認してください。
一例として、東京地方裁判所が公表している2026年の費用を計算すると、次のようになります。
| 費用 | 同時廃止 | 個人の管財事件(弁護士申立て) |
|---|---|---|
| 申立手数料 | 1,500円 | 1,500円 |
| 予納郵便切手 | 4,950円 | 4,950円 |
| 官報公告費用などの予納金 | 13,046円 | 20,397円 |
| 破産管財人の費用に充てる予納金 | なし | 最低20万円 |
| 合計 | 19,496円 | 226,847円から |
この金額は東京地裁の例です。現金で納める場合の金額や郵便切手の内訳も異なるため、表の金額をそのまま全国の裁判所へ当てはめることはできません。
大阪地方裁判所も、手数料・郵便切手・官報公告費用として合計2万円程度が必要であり、管財事件では、弁護士に依頼した申立ては最低20万円、本人申立ては最低50万円の用意を求めると案内しています。このように、本人で申し立てれば必ず総額が安くなるとは限りません。
自己破産で裁判所へ納める費用の内訳
申立手数料|収入印紙で納める
個人が破産手続開始と免責許可を申し立てる際の手数料は、1,500円です。申立書へ収入印紙を貼る方法が一般的ですが、提出方法や必要な書類は管轄裁判所の案内に従います。
予納郵便切手|裁判所から書類を送る費用
裁判所が申立人や債権者などへ書類を送付するための費用です。必要な切手の種類・枚数は裁判所によって異なり、債権者数に応じて追加される場合もあります。
郵便料金の改定に伴って金額が変わることもあるため、古い記事の金額を見て切手を購入せず、申立て直前に確認しましょう。
官報公告費用などの予納金
自己破産では、破産手続開始決定や免責許可決定などが官報へ掲載されます。その公告費用などに充てるため、裁判所が指定する予納金を納めます。
同時廃止でも必要ですが、管財事件では別の予納金と合わせて納付するため、金額の表示方法が裁判所ごとに異なることがあります。
管財事件の予納金|破産管財人の費用などに充てる
管財事件では、裁判所が破産管財人を選任し、財産や借金の経緯を調査します。必要に応じて財産を換価し、債権者への配当なども行うため、その職務に必要な費用を予納しなければなりません。
一方、財産が少なく、破産管財人を選任しても手続費用を賄えない場合などは、破産手続開始と同時に破産手続を終了する「同時廃止」になることがあります。ただし、換価する財産が少なくても、借金の原因や財産処分について調査が必要と判断されれば、管財事件になる場合があります。
「20万円以下の財産なら必ず同時廃止」「借金が5,000万円以下なら必ず少額管財」といった全国共通の線引きはありません。裁判所ごとの運用と個別事情を確認する必要があります。
弁護士へ依頼する場合の費用内訳
弁護士費用は事務所ごとに決められており、同じ自己破産でも表示方法が異なります。金額だけでなく、何が含まれているかを確認することが大切です。
相談料
正式に依頼する前の法律相談にかかる費用です。借金問題の初回相談を無料としている事務所もあります。無料相談でも時間や回数に上限がある場合があるため、予約時に確認しましょう。
着手金
弁護士が自己破産の案件へ着手するための費用です。結果にかかわらず発生するのが一般的で、一括払いだけでなく、分割払いや申立てまでの積立てに対応する事務所もあります。
報酬金
免責許可決定の確定など、契約で定めた結果が得られたときに発生する費用です。着手金とは別に設定する事務所もあれば、「自己破産一式」としてまとめて表示する事務所もあります。
「着手金0円」と表示されていても、報酬金、事務手数料、管財事件の追加費用を含めると安いとは限りません。依頼前に税込みの支払総額を書面で確認してください。
実費・日当・追加費用
住民票などの取得費、交通費、郵送費、遠方の裁判所へ出向く日当などが別途かかる場合があります。また、管財事件への移行、債権者数の増加、個人事業の帳簿整理、過払い金の回収などによって追加費用が発生することもあります。
見積書では、少なくとも次の項目を確認しましょう。
- 相談料、着手金、報酬金の税込総額
- 同時廃止と管財事件それぞれの料金
- 裁判所費用が見積額に含まれているか
- 債権者数による追加料金
- 実費、日当、事務手数料の有無
- 分割回数と毎月の支払額
- 途中で辞任・解約となった場合の精算方法
- 申立てまでに必要な積立総額と予定時期
司法書士へ依頼すると費用は安くなる?
司法書士へ自己破産申立書などの作成を依頼できる場合があります。ただし、自己破産は地方裁判所で行う手続きです。司法書士は地方裁判所で本人の代理人になるのではなく、裁判所へ提出する書類の作成を通じて本人申立てを支援するのが中心です。
法務大臣の認定を受けた司法書士が代理できる「140万円以下」という範囲は、簡易裁判所で扱う民事事件や一定の裁判外和解などに関するものです。「1社の借金が140万円を超えたら、自己破産の書類作成も依頼できない」という意味ではありません。
一方、司法書士へ依頼した場合は、裁判所や破産管財人とのやり取りを本人が行う場面が増えます。また、裁判所によっては、本人申立ての管財予納金が弁護士申立てより高く設定されています。書類作成費用だけを比べず、裁判所費用と本人の負担を含めた総額で判断しましょう。
自己破産の費用を払えないときの5つの対処法
1.分割払い・申立てまでの積立てを相談する
自己破産を扱う法律事務所の中には、専門家費用の分割払いに対応しているところがあります。依頼後、毎月一定額を積み立て、必要な費用と書類がそろってから裁判所へ申し立てる方法です。
弁護士や業務範囲内で対応する認定司法書士が貸金業者へ受任通知を送り、貸金業者が受け取ると、貸金業法により本人への直接の取立ては原則として止まります。その後の返済については、必ず依頼した専門家の指示に従ってください。
受任通知を送れば、すべての債権者からの連絡や裁判手続きが自動的に止まるわけではありません。すでに訴状や差押えに関する書類が届いている場合は、費用の準備よりも対応期限の確認が優先されることがあります。
また、毎月の積立額を低くしすぎると申立てが先延ばしになり、その間に債権者が訴訟や強制執行へ進む可能性があります。毎月払える金額だけでなく、申立予定日まで確認しましょう。
2.法テラスの民事法律扶助を確認する
収入や資産が一定基準以下であれば、法テラスの無料法律相談を利用できる可能性があります。弁護士・司法書士費用等の立替制度には、これに加えて「勝訴の見込みがないとはいえないこと」と「民事法律扶助の趣旨に適すること」という条件があります。自己破産では、免責の見込みがあるかどうかなどが審査されます。
法テラスが公表している、弁護士による自己破産事件の代理援助における依頼時費用の目安は、次のとおりです。
| 債権者数 | 着手金 | 実費 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 1~10社 | 132,000円 | 23,000円 | 155,000円 |
| 11~20社 | 154,000円 | 23,000円 | 177,000円 |
| 21社以上 | 187,000円 | 23,000円 | 210,000円 |
実際の金額は事件の内容や審査によって決まり、困難度に応じて増減する場合があります。自己破産では原則として報酬金は発生しませんが、過払い金を回収できた場合は報酬金が発生します。司法書士に申立書などの作成を依頼する書類作成援助は、これとは別の費用基準です。
立替制度は、誰でも利用できる給付金ではありません。立替金は、援助開始決定後、原則として毎月5,000~10,000円程度ずつ返済します。事件が終わってから返済が始まるとは限らない点にも注意が必要です。
収入・資産の基準は家族人数、居住地域、家賃・住宅ローン、医療費などによって変わります。単身者の基準例は、平均手取り月収18万2,000円以下、資産180万円以下です。東京都特別区や大阪市など一部地域では、収入基準が20万200円以下となります。代理援助や書類作成援助の資産審査では、現金・預貯金だけでなく、自宅や係争物件を除く不動産、有価証券なども原則として確認されます。
基準を少し超えていても、家賃、住宅ローン、医療費、教育費などの負担によって利用できる場合があります。自己判断で諦めず、法テラスへ確認しましょう。
出典:法テラス「弁護士・司法書士費用等の立替制度のご利用の流れ」
3.生活保護を受給中なら償還猶予・免除を確認する
生活保護を受給中でも、法テラスの立替制度を利用できます。受給中は立替金の返済が猶予され、事件終了後も生活保護を受給している場合は、返済免除を申請できる可能性があります。
ただし、生活保護を受けていれば自動的に無料になるわけではありません。事件が終了した後に申請し、法テラスの審査を受ける必要があります。
また、法テラスでは、生活保護受給者を除き、自己破産事件の予納金は原則として立替えの対象外です。弁護士費用の立替制度を利用できても、管財事件の予納金を別に準備しなければならない場合があります。ここは相談時に必ず確認してください。
4.複数の事務所から総額の見積もりを取る
「相談無料」「着手金0円」だけで決めず、同じ条件を伝えて総額を比べます。借入先一覧、財産、収入、事業経験、ギャンブルや投資の有無、過去の財産処分まで同じ情報を伝えなければ、見積額を正しく比較できません。
安い見積もりでも、管財事件になったときの追加料金や裁判所費用が含まれていなければ、後から負担が増えます。料金表だけでは分からない部分を、契約前に書面で確認しましょう。
5.本人申立ても可能だが、総額と負担を比べる
自己破産は、法律上、本人だけで申し立てることも可能です。弁護士費用を抑えられる一方、債権者一覧表、財産目録、家計収支、借金の経緯などの書類を自分で作成し、裁判所からの補正指示にも対応します。
さらに、管財事件になると、本人申立ての予納金を高く設定する裁判所があります。本人申立てが本当に安くなるかは、同時廃止の見込み、必要な予納金、自分で対応できる作業量を含めて判断する必要があります。
少なくとも申立て前に、法テラスや弁護士会、司法書士会などの相談窓口で確認しておくとよいでしょう。
費用がなくても避けるべき行為
費用を作ろうとして、次の行為をすると、管財事件になる原因や免責の判断へ悪影響を及ぼす可能性があります。
- 返せないと分かりながら新たに借り入れる
- クレジットカードで購入した商品を換金する
- 財産を家族や知人の名義へ移す、または隠す
- 一部の債権者だけへ優先して返済する
- 通帳、保険、暗号資産、電子マネーなどを申告しない
- 裁判所や専門家へ事実と異なる説明をする
- 裁判所から届いた書類を放置する
すでに該当する行為をしてしまった場合も、隠さずに専門家へ伝えてください。事情によって対応は異なり、該当する行為があっただけで免責が必ず認められないとは限りません。
自己破産費用の見積もり前に準備するもの
初回相談の段階ですべての書類がそろっていなくても相談できます。分かる範囲で次の情報をまとめておくと、手続きと費用の見通しが立ちやすくなります。
- 借入先ごとの残高、滞納状況、保証人の有無
- 給与、年金、事業収入などの手取り収入
- 家賃、生活費、税金など毎月の支出
- 預貯金、保険、自動車、不動産、有価証券などの財産
- 退職金の見込額や勤務年数
- 過去の事業、投資、ギャンブル、カード利用の状況
- 直近に売却・贈与・名義変更した財産
- 債権者や裁判所から届いた書類
- 毎月無理なく積み立てられる金額
管財事件になる可能性を判断する材料を隠すと、最初の見積額と実際の費用が大きくずれることがあります。相談時から正確に伝えることが、結果的に費用と時間の無駄を減らします。
自己破産の費用についてよくある質問
手元にお金がなくても弁護士へ相談できますか?
相談できます。初回相談を無料としている事務所や、分割払いに対応する事務所があります。法テラスの資力基準を満たす場合は、無料法律相談や費用立替制度を利用できる可能性もあります。
ただし、相談無料と依頼後の費用無料は別です。相談時に、初回に必要な金額、毎月の積立額、裁判所費用を納める時期を確認してください。
自己破産の費用も免責してもらえますか?
自己破産を依頼する弁護士費用は、通常、委任契約に基づいて申立てまでの分割払いや積立てなどで準備します。「免責されることを前提に、依頼先への費用を未払いのままにする」という支払方法ではありません。
すでに別の専門家費用を滞納しているなど事情がある場合は、債権者一覧への記載も含め、依頼先へ隠さず相談してください。
家族に費用を出してもらえますか?
家族など第三者から援助を受けて費用を用意できる場合があります。ただし、援助なのか返済義務のある借入れなのか、資金の出所を明確にし、専門家や裁判所へ正しく説明できるようにしてください。
費用を作るために新たな消費者金融やクレジットカードを利用することは避けましょう。
法テラスを使えば自己破産は無料になりますか?
原則として無料になる制度ではなく、弁護士・司法書士費用等を立て替え、利用者が法テラスへ分割で返済する制度です。生活保護受給中など一定の場合は、返済の猶予や免除が認められる可能性がありますが、申請と審査が必要です。
また、生活保護受給者を除き、自己破産の予納金は原則として立替対象ではありません。
借金が少なければ自己破産の費用も安くなりますか?
借金総額だけでは決まりません。債権者数、財産、事業の有無、借金の経緯、管財事件になるかどうかが費用へ影響します。借金額が少なくても、調査が必要なら管財事件になる場合があります。
同時廃止なら申立てと同時に借金がなくなりますか?
なくなりません。同時廃止は、財産の換価・配当を行う破産手続を、破産手続開始と同時に終了させる仕組みです。借金の支払責任が原則として免除されるのは、別に行われる免責手続で免責許可決定が確定した後です。税金や養育費など、免責されない債権もあります。
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まとめ|総額・支払時期・管財事件の追加費用を確認する
自己破産の費用は、裁判所費用と専門家費用に分かれます。同時廃止なら裁判所費用は2万円前後で済む例がありますが、管財事件では破産管財人の費用に充てる予納金が加わり、20万円台以上になることがあります。ここへ弁護士・司法書士費用が加わるため、料金表の一部分だけで判断してはいけません。
費用をすぐに用意できない場合は、次の順で確認しましょう。
- 弁護士費用の分割払いと申立てまでの積立額
- 同時廃止と管財事件それぞれの総額見積もり
- 法テラスの無料法律相談・費用立替制度の利用条件
- 管財事件になった場合の予納金と納付期限
- 生活保護受給中の場合の償還猶予・免除申請
「お金がないから自己破産できない」と決めつける必要はありません。一方、費用を作るための新たな借入れや財産隠しは避けるべきです。借入先、収支、財産、裁判所から届いた書類を整理し、できるだけ早く弁護士、司法書士、法テラスなどへ相談してください。
借入状況を整理するきっかけとして、借金減額相談の案内を確認する方法もあります。利用前に運営元、連絡方法、個人情報の取扱いを確認し、画面に表示される結果だけで手続きを決めないようにしてください。
公的機関の参考情報
- 裁判所「破産・再生」
- 東京地方裁判所「郵便切手及び予納金一覧」
- 大阪地方裁判所「倒産部(第6民事部)」
- 法テラス「自己破産 費用の目安」
- 法テラス「弁護士・司法書士費用等の立替制度」
- 法テラス「立替制度に関するよくあるご質問」
- 法テラス「民事法律扶助のしおり」
- 法務省「司法書士の業務」
- 法務省「司法書士の簡裁訴訟代理等関係業務の認定」
- e-Gov法令検索「貸金業法」
本記事は、自己破産の費用に関する一般的な情報を整理したものです。裁判所費用、手続きの運用、専門家費用は地域や個別事情によって異なります。個別の法的判断が必要な場合は、弁護士、司法書士、法テラスなどへご相談ください。
